⑧「学んでみよう(国試対策)」-2019年11月号

⑧「学んでみよう(国試対策)」-2019年11月号

今月は、【2020年版 必修問題対策】として「関係法規」10問、「柔道整復学理論」10問、計20問を出題させていただきます。

11月分【必修問題】問題10問 「関係法規」(倫理問題を1問含む)(協力 ジャパン国試合格)

問題1 施術所開設の届出事項でないのはどれか。
1. 開設の場所
2. 開設者の生年月日
3. 開設者の住所
4. 業務に従事する柔道整復師の氏名

問題2 施術所の構造設備基準を満たすのはどれか。
1. 10平方メートルの施術室に4平方メートルのキッズスペースを作った。
2. 3.3平方メートルの待合室にウォーターサーバーを設置した。
3. 患者数が増えたため、待合室にベッドを置いて日常的に施術している。
4. 施術室が14平方メートル、施術室の窓の面積が1.5平方メートルで、換気装置を設置していない。

問題3 施術所に関して広告できるのはどれか。
1. 健康保険取扱い
2. 出張による施術の実施
3. ○○式整復術
4. 医学博士取得

問題4 最も重い刑罰に処せられるのはどれか。
1. 指定試験機関の職員が秘密を漏らした。
2. 指定試験機関の職員が試験事務に関して帳簿に虚偽の記載をした。
3. 不正に免許を受けた。
4. 柔道整復師または医師でないものが柔道整復を業とした。

問題5 成文法はどれか。
1. 条 理
2. 判 例
3. 命 令
4. 慣習法

問題6 開設に際し厚生労働大臣の承認が必要なのはどれか。
1. 柔道整復師の施術所
2. 助産所
3. 地域医療支援病院
4. 臨床研究中核病院

問題7 正しい組み合わせはどれか。
1. 地域医療支援病院 ―― 患者200人以上の収容施設
2. 助産所 ――――――― 妊婦・産婦・じょく婦10人以下の収容施設
3. 特定機能病院 ―――― 患者200人未満の収容施設 
4. 病 院 ―――――――― 患者10人以上の収容施設

問題8 人を対象として医師のみができるのはどれか。2つ選べ。
1. 死亡診断書の発行
2. 死体検案書の発行
3. エックス線照射
4.行政解剖

問題9 業務独占を有するのはどれか。
1. 理学療法士
2. 作業療法士
3. 保健師
4. 診療放射線技師

問題10 柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いの中止措置で正しいのはどれか。
1. 中止措置を受けた柔道整復師は原則として中止後3年間は受領委任の取扱いができない。
2. 監査時に判明した不正請求金額が10万円以上の場合に中止措置の対象となる。
3. 中止措置を受けた柔道整復師の施術を受け、施術料を全額支払った後にその費用を保険者に請求できる。
4. 中止措置を受けた柔道整復師は新たに施術所を開設すれば受領委任の取扱いができる。

【必修問題】問題10問 「柔道整復学理論」(実技編を含む)

問題11 定型的鎖骨骨折で正しいのはどれか。
1. 直達外力での発生が多い。
2. 受傷翌日でも骨折端は皮下に明瞭に確認できる。
3. 健側の肩が患側より低い。
4. 体位変換が緩慢である。

問題12 定型的鎖骨骨折の固定で正しいのはどれか。
1. 胸郭を狭めた肢位で固定する。
2. 固定の維持は容易である。
3. 約3週で骨癒合が得られる。
4. 固定の一法でデゾー(Desault’s)包帯固定が挙げられる。

問題13 上腕骨外科頸外転型骨折と肩関節前方脱臼(烏口下脱臼)の鑑別において最も重要なのはどれか。
1. 上腕軸の変化
2. 神経損傷の合併
3. 肩峰下の抵抗感
4. 腫脹の程度

問題14 上腕骨骨幹部骨折で三角筋付着部より遠位の骨折の固定肢位で誤っているのはどれか。
1. 肩関節0〜30度外転位
2. 肩関節軽度外旋位
3. 肘関節90度屈曲位
4. 前腕回内回外中間位

問題15 転位のあるコーレス(Colles)骨折でみられるのはどれか。
1. 骨折部より近位部の腫脹 
2. 鋤型変形  
3. 前腕部の感覚障害
4. 横径の増大

問題16 コーレス(Colles)骨折の整復で正しいのはどれか。 
1. 転位軽度の場合は屈曲整復法を用いる。
2. 患肢の肘関節は伸展位で行う。
3. 遠位骨片は前腕回内位にて遠位方向へ牽引する。
4. 整復終了後、手関節軽度掌屈、橈屈位で軽度の牽引をかけ整復位を保持し固定に備える。

問題17 高度な転位があったコーレス(Colles)骨折の固定範囲で正しいのはどれか。
1. 上腕遠位部から手MP関節部手前まで 
2. 上腕中央部から手MP関節部手前まで
3. 上腕近位部から手MP関節部手前まで
4. 前腕近位部から手MP関節部手前まで

問題18 第5中手骨頸部骨折で正しいのはどれか。
1. 捻転転位整復の確認は、MP関節伸展位で行う。
2. 隣接指(第4指)も一緒に固定する。
3. PIP関節を90度以上の屈曲位で固定する。
4. 固定による皮膚損傷は掌側に起こりやすい。

問題19 肋骨骨折の絆創膏固定(屋根瓦状固定)で誤っているのはどれか。
1. 多毛の人には固定前に剃毛処理を行う。
2. 複数骨折では胸部を全周覆うように貼付する。
3. 完全な呼気状態にて貼付する。
4. 下方から上方向に重ねながら貼付する。

問題20 肩鎖関節上方脱臼で誤っているのはどれか。
1. ピアノキー症状がみられる。
2. 上腕の外転制限がみられる。
3. 介達外力の場合、多くは完全脱臼を呈する。
4. 階段状変形が著明である。

以上、計20問

回答 解説 コメント

問題1 
【解答】 2 【法規】p.29
[必修]4.柔道整復師法F.施術所 ア.届出 ①開設の届出 
施術所開設の届出事項は、
①開設者の氏名及び住所
②開設の年月日
③名称
④開設の場所
⑤業務に従事する柔道整復師の氏名
⑥構造設備の概要及び平面図
の6項目が必要となる。

問題2 
【解答】 2 【法規】p.29-30
[必修]4.柔道整復師法 F.施術所 イ.構造設備等
1.施術室は専用で6.6平方メートル以上でなければならない。キッズスペースを作ったことで施術室が6平方メートルとなるため構造設備基準を満たさない。
2.待合室は3.3平方メートル以上で、ウォーターサーバーの設置は問題ない。
3.施術室は専用でなければならず、待合室を施術スペースとして日常的に使用することは認められない。
4.施術室は,室面積の7分の1以上に相当する部分を外気に解放し得なければならないため、この場合、2平方メートル以上でなければならない。

問題3 
【解答】 2 【法規】p.35-36
[必修]4.柔道整復師法G.雑則 ア.広告の制限
1.医療保険療養費支給申請ができる旨は記載できるが「健康保険取扱い」や「各種保険取扱い」などの記載はできない。
3.施術方法や技能に関しては記載できない。
4.経歴は記載できない。

問題4 
【解答】 1 【法規】p.39-40
[必修]4.柔道整復師法 H.罰則 ア.違反行為と罰則
1.1年以下の懲役または50万円以下の罰金
2.30万円以下の罰金
3.50万円以下の罰金
4.50万円以下の罰金 
主刑は重い順に、死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料である。懲役刑に処せられることがある1が最も重い。
※「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」については出題基準に記載は無いが、本問は消去法でも回答可能である。

問題5 
【解答】 3 【法規】p.1-2
[必修]5.関係法規 A.総論 ア.法の分類
1.2.4.は不文法である。 
成文法は制定法ともよばれ、文章となっているものである。成文法に憲法、条約、法律、命令、地方自治体の条例・規則がある。
3.命令は行政機関により制定され、政令、府令、省令、規則等がある。

問題6 
【解答】 4 【法規】p.68-69
[必修]5.関係法規 B.医療法 ア.病院・診療所
1.2.都道府県知事に届け出る。
3.都道府県知事の承認を受けて開設できる。
4.特定機能病院と臨床研究中核病院は厚生労働大臣の承認を受けて開設できる。

問題7 
【解答】 1 【法規】p.68-69
[必修]5.関係法規 B.医療法 ア.病院、診療所
2.助産所は妊婦・産婦・じょく婦10人未満の収容施設までとなり、10人は認められない。
3.特定機能病院は患者400人以上の収容施設を有することが要件となる。
4.病院は患者20人以上の収容施設を有することが要件となる。

問題8 
【解答】 2,4 【法規】p.47-52
[必修]5.関係法規 C.医師法 イ.業務
1.人の死亡診断書は、医師及び歯科医師が発行できる。飼育動物については獣医師のみ発行できる。
2.人の死体検案書は医師のみ発行できる。家畜について獣医師のみ発行できる。
3.人体へのエックス線照射は、医師、歯科医師及び診療放射線技師ができる。ただし、診療放射線技師は、医師または歯科医師の具体的な指示があった場合に限る。
4.行政解剖は、事件性はないと判断された遺体の死因究明を目的とする。行政解剖を行えるのは監察医のみである。現在、監察医が置かれているのは東京23区、大阪市、横浜市、名古屋市及び神戸市である。

問題9 
【解答】 4 【法規】p.54-59
[必修]5.関係法規D.E.F. ア.業務
1.理学療法士、2.作業療法士、3.保健師は名称独占を有するが、業務独占はもたない。
4.診療放射線技師は業務独占だけでなく、名称独占も有する。 

問題10 
【解答】 3 【社倫】p.21-22
[必修]6.柔道整復師と国民医療費 A.国民医療費 オ.柔道整復師と療養費(受領委任払いを含む)
1.原則として中止後5年間は受領委任の取扱いができない。
2.不正請求の額の規程はない。また不正請求の対象となる人数に関する規定もない。当然、1名でも不正であれば処分を受ける。
3.施術料の全額を窓口で支払い、療養費支給申請書に領収書等を添付して請求し、後日自己負担分相当額を除いた額の償還(払戻)を受ける「償還払い」のことで、業務停止や免許取消しの処分を受けていなければ可能である。
4.受領委任の取扱いの中止措置は柔道整復師に対するもので、新たに施術所を開設しても取扱いはできない。

【法規】は、「関係法規2019年版」(医歯薬出版)の教科書からです。
【社倫】は、「社会保障制度と柔道整復師の職業倫理」(医歯薬出版)の教科書からです。

【必修問題】問題10問 「柔道整復学理論」(実技編を含む)

問題11 
【解答】 4 【柔理】p.183-186【柔実】p.64
[必修]1.定型的鎖骨骨折の診察および整復 A.診察 イ.ウ.
1.介達外力での発生が多い。
2.受傷直後は、骨折端が明瞭であるが、受傷後数時間経過すると腫脹が出現し、翌日には骨折端は腫脹により不明瞭となる。
3.遠位骨片は上肢の重量により下垂するため、患側の肩が健側より下がる。
4.動揺痛を避けるため体位変換や歩容が緩慢である。 

問題12 
【解答】 4 【柔理】p.186-189
[必修]8.定型的鎖骨骨折の固定 E.固定の手順 ア.固定の罪障と固定の方法
鎖骨骨折の固定は1.両側の肩甲骨が後上方に挙上(胸郭拡大)した肢位で施行する。2.転位が軽度のものが対象となる。3.骨癒合は約4週間が目安となる。4.固定の種類としてでぞー包帯、鎖骨バンド、リング固定、背側8字帯などが挙げられる。

問題13 
【解答】 3 【柔理】p.235-237
[必修]9.上腕骨外科頸外転型骨折の診察および整復 A.診察 カ.骨折有無の判断
骨折と脱臼の鑑別においてはそれぞれの固有症状の確認が重要である。
ただし、固有症状の一つである変形については、共に上腕軸が外転位となり、外観が類似するため鑑別に注意が必要である。神経損傷の合併は骨折、脱臼のどちらでも発生する可能性があり、鑑別においては重要ではない。腫脹の程度も損傷程度や筋肉、皮下脂肪の量によって異なるため、直接的な鑑別の要因とはなりにくい。肩峰下の抵抗感は、上腕骨外科頸外転型骨折では肩峰下に骨頭を触知できるが、肩関節前方脱臼(烏口下脱臼)では肩峰下が空虚となるため抵抗感がなくなり、脱臼の固有症状である関節窩の空虚が確認できる。

問題14 
【解答】 1 【柔実】p.103
[必修]10.上腕骨骨幹部三角筋付着部より遠位骨折の固定 B.固定肢位 イ.
上腕骨骨幹部骨折で三角筋付着部より遠位の骨折の固定肢位は、肩関節70〜80度外転・30〜45度水平屈曲・軽度外旋位、肘関節90度屈曲位、前腕回内回外中間位である。
1.肩関節0〜30度外転位は三角筋付着部より近位の骨折の固定肢位である。

問題15 
【解答】 4 【柔実】p.153-154
[必修]11.コーレス骨折の診察および整復 A.診察
1.骨折部より遠位部の腫脹がみられる。
2.鋤型変形はスミス骨折の典型的変形である。
3.コーレス骨折の感覚障害は正中神経、橈骨神経、尺骨神経障害の合併があるため手部を確認する必要がある。

問題16 
【解答】 3 【柔実】p.154-156
[必修]11.コーレス骨折の診察および整復 E.整復操作 ア
1.転位軽度の場合は、牽引直圧法を選択し、転位高度の場合は屈曲整復法を選択する。
2.患者の肘関節は90度屈曲した状態で行う。
3.遠位骨片は前腕回内位で遠位方向へ牽引する。
4.整復終了後、手関節軽度掌屈、尺屈位で軽度の牽引をかけ整復位を保持する。

問題17 
【解答】 3 【柔実】p.158
[必修]12.コーレス骨折の固定
1.転位が高度なコーレス骨折を上腕遠位部から固定すると、前腕の回旋の制限が不充分となりやすい。
2.上腕中央部から固定すると、前腕の回旋の制限は可能だが、橈骨神経を圧迫する可能性があり、望ましくない。
4.転位が軽度なコーレス骨折は前腕の回旋を制限する必要性は低いため、前腕近位部からの固定も可能であるが、転位が高度なコーレス骨折では再転位を惹起してしまう。

問題18 
【解答】 2 【柔実】p.185-190
[必修]13.第5中手骨頸部骨折の固定 B.固定肢位
1.捻転転位整復の確認は、MP関節を伸展した状態では看過することがあるので、必ずMP関節とPIP関節を90度近く屈曲して確認する。正しく整復されている場合、指先は舟状骨結節部に向く。
3.固定肢位は、手関節軽度伸展位、MP関節40-70度屈曲位、IP関節軽度屈曲位に固定する。IP関節90度屈曲位で固定するとPIP関節の屈曲拘縮が生じるため避ける。
4.手指部背側の皮膚は薄く、屈曲により皮膚血流が悪くなりやすいため注意する。

問題19 
【解答】 2 【柔実】p.417-420
[必修]14.肋骨骨折の固定 E.固定の手順
1.多毛の場合絆創膏が接着しにくいためあらかじめ処理をしておく必要がある。
2.前後正中線を超え健側から始まり健側に終わる範囲に貼付する。3.呼気の状態で貼付しないと固定力を保てないため。
4.幅が1/2~1/3重なる程度に順次上方に向かって貼付していく。
また、乳頭部に関しては、貼付を避けるか、ガーゼを当てるなど保護する必要がある。皮膚のかぶれ・水泡に留意しつつ適宜交換する。

問題20 
【解答】 3 【柔理】p.262-263
[必修]15.肩鎖関節上方脱臼の診察および整復 A.診察 ウ.患部の観察
1.突出した鎖骨遠位端を上から押すと下がり、指を離すとすぐ元の位置に戻るピアノキー症状(反跳症状)がみられる。
2.上腕の挙上、特に外転運動の制限がみられる。
3.介達外力の場合、多くは不全脱臼となる。
4.鎖骨遠位端が階段状に突出し鎖骨外端と肩峰との間に深い窪みができる。

以上、計20問

 

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