超音波画像観察日記⑫
超音波画像観察≪下腿骨(脛骨)の疲労骨折の症例報告≫⑫
下腿骨(脛骨)の疲労骨折の症例を報告します。中学2年生の患者さんで陸上部に所属されており跳躍競技を専門に日々練習されています。左のすねの痛みを主訴に来院されました。2週間ほど前から練習時に痛みが現れるそうです。歩行など日常生活は痛くないとのことです。拝見しますと、脛骨の前方真ん中あたりが少し膨隆し、強い圧痛が認められます。「跳躍競技かぁ…、これはまずいかも…」と思いまして、超音波観察です。まずい予想が的中です。脛骨前面の骨の連続性が一部断たれ膨隆しています。強圧痛の部位です。またドプラにて血流増加を認めました。これは間違いなく跳躍型の疲労骨折ですね。疾走型の疲労骨折とは違い、難治性で遷延治癒することが多く、中には骨癒合せず完全骨折に至る例もあります。これはすぐに病院に行きましょう、と説明しまして、病院の先生の指示のもと、当院で加療継続しました。超音波骨折治療器を使用しまして、経過順調で約一か月で骨癒合を認めました。病院の先生の指導のお陰を持ちまして、安心して徐々にですが競技復帰してもらうことができました。跳躍型疲労骨折は、初期ではADL上症状の出ないこともあり、施術者の無理解により受診されても見逃されたりすることもあるようです。完全骨折に至っては大変なことですので、超音波による病態把握が大事ってことですね。
(公社)滋賀県柔道整復師会 川戸 典知
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