超音波観察日記20190425-⑪
超音波画像観察≪手指骨折の症例報告≫⑩
手指骨折の症例です。某女子サッカーチームに所属されていましてポジションはキーパーをされています。捕球時に突き指し第5手指を負傷されました。受傷翌日の来院でしたが、腫脹中等度で圧痛は顕著に見られました。手指軸の回旋等変形は見られませんでしたが、骨折を疑い超音波観察! まずは長軸での観察(画像①)。うーん、なかなか明らかな骨折線が確認できない…。次に短軸で観察(画像②)。うーん、と悩みましたがよーく見るとエコー上の骨損傷が確認できました。ということでレントゲン検査を依頼し写真①のような骨折と診断をいただきました。レントゲン上では基節骨の真ん中を縦に骨折しています。これは回旋変形に気をつけないと、ということで、手関節軽度背屈で手指を良肢位(にぎり固定)にて固定しました(写真②③)。約1週間後、この患者さん所属のチームからチームドクターを受診させたいとの申し出があり、経過報告書を用意し転医していただきました。ドクターからのお返事には、「にぎり固定で経過良好で転位なく保てていました。ただこのままだとPIP関節の屈曲拘縮が懸念されるので、安全肢位(intrinsic plus position)の固定に変更します」とのことでした。確かににぎり固定ですと、PIP関節を屈曲しているので手綱靭帯が短縮し屈曲拘縮の恐れがありますよね。ドクターから良いアドバイスをいただき勉強になりました!
(公社)滋賀県柔道整復師会 川戸 典知
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